STORY

新幹線が走る日を
待ち望む人のために。
その挑戦と、未来への想い。

北海道新幹線
渡島トンネル(北鶉)プロジェクト

「その仕事が、
誰かの未来になる。」
スペシャルムービー

INTERVIEW現場取材

新幹線が走る日を
待ち望む人のために。
その挑戦と、未来への想い。

北海道新幹線の延伸工事として、新函館北斗駅の先にあたる渡島トンネルの現場で働く永井さん。山に穴を開け掘り進める山岳トンネル工事では、安全に現場を動かすために、日々様子の変わる山の表情を見つめ、掘削を進めるための的確な判断が求められます。永井さんは、入社1年目からこの現場で働き、経験や技術を持ったまわりの人たちから学び、自ら考え行動することを大切にしてきました。4年目を迎えた今、見えてきたものづくりへの想い。そして、完成すれば陸上では国内最長の山岳トンネルとなる仕事への誇り。そこには、人と人、人と街をつなぐトンネル工事への決意と未来への想いがありました。

渡島トンネル北鶉作業所
永井 聖太

取材・撮影:2021年7月

トンネルの佐藤。
その誇りを持って、
長大トンネル工事に挑む。

北海道新幹線の延伸工事、新函館北斗駅の先に当たる渡島トンネルが私の現場です。渡島トンネルは32.7kmありますが、そのうちの5.0kmを佐藤工業が担当しています。これだけの大規模な工事をお客様から任されているのは、これまで培ってきた実績や技術、人財の力があってこそ。それが佐藤工業の強みだと思っています。2017年から工事がはじまり、87カ月の工期と長丁場で、現在の進捗は掘削が折り返し地点、コンクリート工事が1/3程度まで進んだところです。山岳トンネルの工事は火薬を使って山に穴を開け掘り進めていくため、一見とてもダイナミックな仕事に見えますが、1日に進むのはたった数メートル。
なかなか工事が進んでいる実感はないんですが、ふと現場を歩いてみると、これだけ掘ったんだなと思い感慨深いです。

日々変わる山の表情を見つめ、
掘り進めるトンネルの技術。

山岳トンネル工事は主に、山を掘削する作業と、掘った土砂や岩石などを運び出す作業があります。掘削においては、まず、山の先端にドリルジャンボと呼ばれる重機で穴を開ける穿孔(せんこう)という作業からはじまり、ドリルで開けた無数の穴に火薬を詰める装薬(そうやく)、火薬を起爆させ山の岩石などを破砕する発破(はっぱ)と続きます。

私の仕事は主にこの掘削を担当しています。最前線から現場の安全を守ることはもちろんですが、山の動きを見ることも重要な仕事です。トンネルは山に穴を開け掘り進めていきますが、穴を開ける前にそこにあった岩石などはものすごい圧力を受けているんですね。それを取り払ってしまうと、空洞の方に向かって山は動こうとします。

山の姿は本当に日々様子が変わります。昨日は固かったのに今日は崩れやすいというようなこともあります。そのため、日々測量や計測でその動きを数値化し、山の動きを把握し、穿孔作業の際に開ける穴の数を調整したり、詰め込む火薬の量を調整したりしながら、慎重に掘り進めていきます。山に穴を開けそのままでも、ある程度は持つんですが、自然に動くものは動かしつつ、その動きを安全な範囲内でコントロールし、掘ったトンネルの壁にコンクリートの吹き付けやロックボルトなどを使って、最小限の力で抑えていく。山への影響も考えながら、安全に掘り進め、経済的にも安く済ませることができるのは、これまでに培ってきた私たちの山岳トンネル技術です。

過酷な現場で求められる判断。
ともに働く人たちの
安全を第一に。

トンネル工事の現場は過酷な環境です。夏場の工事では、トンネル内に熱がたまり温度や湿度も上昇しやすくなります。切羽付近では、掘削による粉塵や重機の排出ガスなどが充満しやすくなるため、集塵機や外から新鮮な空気を坑内に送り込む換気設備など様々な対策が施されています。また、トンネル工事には掘削した岩石などを運ぶずり出しと呼ばれる作業がありますが、北海道という土地柄、真冬はマイナス10℃を超えることもあり路面の凍結や地吹雪には気をつけなければいけません。一瞬でホワイトアウトになることもありますので、常に現場の安全を第一に考えた判断が求められます。私自身は、掘削を担当していますので、山の動きを見ながら、掘れなくなったときにどう対処するかを考えています。

人の手で行われるものづくり。
だからまわりを頼り、自分で考える。

1年目からこの現場で働いていますが、はじめはわからないことだらけでした。ですから、わからないことは自分から聞くことを心がけてきました。現場には何十年とこの仕事をしてきた人たちがいます。その人たちの経験や技術を頼りに、自分なりに考えることで4年目になった今、ある程度のことは一通りできるようになりました。もちろん自分で積み上げた知識だけでは足りないことも多いので、自分の意見を投げかけ、まわりの意見を取り入れながら実行しています。

ものづくりは人の手で行われています。人と人が働いているからこそ、コミュニケーションを大事にする。ともに働く現場の皆さんの安全を第一に考えて工事を遂行する。その中で品質のいいものをつくり経済性も追求して、お客様にいいものを提供したい。最終的には地域の方に使っていただくわけなので、安心して長く使えるトンネルをつくりたいと思います。また、それが私たちの「建設品質。」だと考えています。

人と人の出会い。つながり。
国内最長の山岳トンネルがつなぐもの。

全長32.7kmの渡島トンネルは完成すれば陸上では国内最長の山岳トンネルになります。工期も長く過酷な環境下の作業ではありますが、ここで働くすべての人たちがその誇りを持って日々の仕事に取り組んでいます。私自身も入社4年目を迎え、この現場での仕事が成長の一歩になっていると実感しています。

北海道新幹線の延伸が実現すれば、地域の人たちはもちろん、全国の人たちがこれまで行けなかった場所や見ることのできなかった景色に出会えるかもしれません。人と人、人と街をつなぐこと。それを可能にするのがトンネルだと思いますし、私たち佐藤工業の仕事です。

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