佐藤工業は「既存鉄筋コンクリート柱および既存鉄骨鉄筋コンクリート柱の炭素繊維シート耐震補強工法(MARS工法)」に関して、平成14年3月、財団法人日本建築防災協会から技術評価を追加取得しました。
<MARS研究会と今回の技術評価取得の経緯>
MARS研究会は、佐藤工業、熊谷組、東邦テナックス、間組、大日本土木、フジタ、西松建設、ジオスター、日本鋼弦コンクリート、前田建設工業、戸田建設の11社で構成する炭素繊維シートによる耐震補強工法の研究会です。
幹事会社は、熊谷組、東邦テナックスです。
MARS工法は財団法人日本建築防災協会から、平成9年2月に「RC独立柱」について、平成11年11月には「SRC独立柱」について技術評価を取得しました。
その後、MARS工法の適用範囲の拡大を図るために、佐藤工業が中心となって構造実験等を行い、その結果、壁付き柱の炭素繊維シートによる耐震補強設計に関する技術評価を追加取得しました。
<工法の概要>
MARS工法は、独立柱の外表面にエポキシ樹脂を用いて炭素繊維シートを閉鎖型に巻き付けることにより、強度と靱性能を向上させる耐震補強工法です。
しかし、柱に袖壁のような壁が取り付く「壁付き柱の場合」は、炭素繊維シートを閉鎖型に巻き付けることができず、適用範囲外となっていました。
したがって、壁付き柱に本工法を適用する場合、壁を撤去したり、柱と壁の間にスリットを入れたりして独立柱とする必要がありました。また、このため施工時に大きな騒音、振動および粉塵の発生が伴う可能性がありました。
そこで、定着金物と壁を貫通するボルトを用いて、柱に貼ったシート端部を壁に定着させることで応力を伝達させる方法を開発し、炭素繊維シートで閉鎖型に補強した独立柱と同等の構造性能を有していることを確認しました。
なお壁付き柱の補強設計の適用範囲は、面外方向を対象とし、面内方向の場合は適用外となります。
<工法の特徴>
(1)壁を撤去する必要がないので、施工中に大きな騒音や振動、粉塵の発生が低減でき、住まいながらの施工が可能となります。
(2)壁が柱芯に対して偏心した場合も補強設計が可能です。
(3)炭素繊維シートの局部的な破断を避けるため、入隅部分を樹脂にて円弧状に成形し、定着金物も円弧状に切削しています。
(4)定着金物は、厚さおよび幅を設計式にしたがい合理的に設計することができ、軽量化が図れます。
定着金物は一般構造用圧延鋼材(JIS G 3101)、また、ボルトも摩擦接合用高力六角ボルト(JIS
B 1186)で特殊な材料は用いておりません。
<今後の展開>
現在までにMARS工法を用いた耐震補強工事の実績は150件以上に及んでおり、今後も、リニューアル需要の増大とともに、既存建物の耐震補強工事への適用を一層進めていく予定です。
*MARS:Mending Application of Reinforcement Sheet |