現場はプロフェッショナルたちが集う真剣勝負の場。
ひとつの核となるのは現場に集う「心」
私が担う施工管理という業務は「作業現場の調整役」。進捗や状況を細かく把握・分析しながら、その日その日の最善を考えて人・モノの段取りや手配を整える仕事です。と、ひとくちに言えるほど単純ではなく、内装工事に鉄骨工事、金属工事、ひとつの工程が終わればまた次と途切れることのないいくつもの工種を管理しなくてはなりません。だからこそ各工種の知識・技術を理解する「頭」、職人さんの仕事の出来をジャッジできる「目」、また必要な時には自らも技術を示せる「腕」。そんな幾つもの能力が求められる職種ですが、ひとつの核となるのは人の気持ちを理解しようとする「心」でしょうか。佐藤工業の社員に、協力会社の皆さん、職人さん。ひとつの建築物をつくるために多くの人と技術が必要となるゼネコンは、多種多様なプロフェッショナルたちが集う真剣勝負の場です。建物は機械ではなく人がつくるもの。現場にいる全員の力の総量が建物の質に直結します。気持ちよく力をふるえる人間関係、信頼関係を築いていくこと。数値では測ることができないこんな働きこそ、施工管理の仕事成功の鍵なんだと思います。

未体験の連続の現場。
奮闘と挑戦の先にはじめて見えた景色
様々な経験を積んできましたが、鉄骨屋根に直接携わるのは初体験です。しかも、アリーナを訪れた人が必ず目にするメインパート。そんな重大な部分にあって所長からもらったのが「お前に任せるよ」との言葉。プレッシャーを感じなかったとは言えませんが、所長をはじめ先輩方もいる、信頼できる協力会社の方々もいる。よし!と心を決めて臨みました。
鉄骨屋根は地上で小ユニットをしっかりと組んだ後、クレーンで引き上げて組み立てていきますが、小さなユニットでも15t。メインフレームになると50t。クレーンもアリーナの高さに対応するものだから超大型。すべてが桁違いのスケール感のなか、約30人のスタッフと工程の管理にはじまり、鉄骨屋根の組み立ての指導、仕上がりの確認、鉄骨の精度や強度、耐震性のチェックまで、施工管理が責任をもつ仕事はあげるとキリがありません。作業中のコンクリートを凍らせてしまう東北の厳しい寒さも初めてのことで、毎日が挑戦と勉強の日々。しかしそれだけに、現場の全員で知恵をしぼり、力を合わせて一工程を無事に終わらせるとズシンと手応えがあります。しかし安堵感もつかの間に、またすぐ次の工程へと新しい挑戦が始まる。そんな日々を繰り返して担当の全工種が終了した日。すべての作業を終え最後の足場を外したその瞬間、ぱーっと視界が開けたその時、私の中にこれまでに感じたことのない充実感が広がりました。不測の事態、思いがけないトラブル。思えばここにたどり着くまで大変だったけれど「頑張ってよかった!」。心からそう思えた瞬間でした。
