桁ちがいのスケール感。ゼネコン業界の醍醐味が
凝縮した現場で、すべての経験を吸収する日々
幼い頃、建築業を営む父が自身の手がける工事を見せてくれていたこともあり、私にとって工事現場は身近な存在でした。でも、佐藤工業に入社して初めて赴任したトンネルの現場は、その広さもスケールも桁ちがいでした。重機も構造物も、目にするものすべてがとにかく大きく、「すごい!」と身震いするような感覚に包まれたことを覚えています。そして入社から3件めとなるこの現場は特別です。九州新幹線(西九州ルート)の総工事延長67kmの中でも難所とされる地域を担当し、複数のトンネルや橋梁をつくり上げていく、いわばゼネコンの醍醐味とも言える現場です。私はここでトンネルと橋脚の両方が存在する地区の施工管理を担当していて、工事計画の立案から、作業指示、作業内容の確認、職人さんや協力会社、重機や資材の手配まで目を配っています。慣れないことも多いのですが、新幹線に関われる現場なんて次いつ経験できるかわかりませんから、「やってやるぞ」という気持ちで取り組んでいます。時には失敗することもありますが、所長や先輩方がきちんと指導・サポートしてくれますし、それに日々工事は進みますからね。落ち込んでいる時間はありません。しっかりと反省して「よし、次はこうしよう」と切り替えて次に備える。簡単にめげないのが自分の強みと信じて、ありとあらゆる経験を「これからの自分の武器に変えてやる」という気持ちで日々を過ごしています。

何十年、何百年も受け継がれる、
日本の風景をつくる仕事
工期は4年以上、数キロにおよぶ工区の地形は複雑で、民家も近くさらにさまざまな地権者の方がいらっしゃいます。このように工程や条件が複雑にからみあう現場はひと筋縄ではいかず、ひとつトラブルがあると数珠つなぎに影響が出てきてしまうもの。他の現場以上に施工管理としての“段取りの手腕を問われる”ことが多く、私たちの責任は重大です。建設業は屋外生産であり、台風や川の氾濫など思わぬ難題も発生してしまうものです。でもだからこそ、自分たちの力でトラブルを乗り越えられた時の手応えと喜びは大きく、どんなに紆余曲折があっても、構造物が徐々に形になってゆく姿を見る満足感はたまりません。トンネルが貫通した時、橋梁の型枠がとれてその姿が現れた時。「このトンネルもこの橋も、これから何十年、あるいは百年以上もこの場所に存在する。自分もこの景色をつくる役に立てた!」と胸に迫るものがあります。私が佐藤工業に魅力を感じた理由のひとつは150年を超える歴史ある会社ということでしたが、いざ建造物の完成に立ち会うと、一つひとつの仕事を通して日本の風景をつくってきたのだと、ゼネコンとしての社会的な役割と喜びを実感します。
