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拡底部の引抜き抵抗力を考慮した場所打ちコンクリート杭工法 『S-HND SK-NEO工法』の適用地盤を拡大
2025年08月07日
佐藤工業は、(株)あい設計、雄正工業(株)、トーワドリル工業(株)と共同※で、拡底部を有する場所打ちコンクリート杭工法『S-HND SK-NEO工法』の適用地盤を拡大する設計手法を確立し、2025年7月に一般財団法人ベターリビングの一般評定を再取得しました。
当工法は、軟弱な地盤が続き支持地盤からしか引抜き抵抗力を確保できないような条件において、杭拡底部の引抜き抵抗力を算入することで、根入れ深さの低減等を図る設計を行い、コストダウンにつなげることができます。
今回の評定変更により、支持地盤の対象は従来の砂質地盤と粘性土地盤に加え、泥岩・シルト岩を追加。泥岩・シルト岩を含む土丹と称される地盤は関東地方に分布しており杭の支持地盤とする場合が多く、当工法の採用機会が増えることが期待されます。
場所打ち拡底杭工法は、支持力だけでなく、拡底部の引抜き抵抗力が大きいことは知られていますが、それを評価する設計式が確立されていないため、拡底部がないものとして引抜き抵抗力を算定することが一般的です。このため、杭に大きな引抜き力が作用する場合は、軸部周面の摩擦力しか算定できず、根入れ深さを長くするか、軸径を大きく設計する必要がありました。また強固な地盤である支持地盤を深く掘削することは、経済性、施工性の面で課題がありました。
『S-HND SK-NEO工法』は、2021年にベターリビングの一般評定を取得していましたが、今回はさらに、地層上面の傾斜が厳しい土丹において実施した、実大杭の施工・引抜き試験結果を踏まえて2024年1月に技術審査証明を取得し、当工法の施工指針の適用範囲において適切に施工できることを確認しています。
この結果、土丹などの固結した地盤においても杭の拡底形状に応じて、今まで考慮できなかった拡底部の引抜き耐力が算入でき、杭長を短くしたり、杭径を細くしたりすることが可能となり、またコンクリート数量および掘削土量の削減や、支持地盤での施工性の向上が図られます。
当工法で使用する拡底バケットは、油圧によって開閉管理を行う仕様で、油量を管理することで拡底寸法を変えることができ、拡底部の上部傾斜角を 4.3°から 11.9°の範囲で設定できる特長があります。
当工法の杭の寸法形状およびコンクリートの設計基準強度等に関する適用範囲は、以下の通りです。
・杭軸部径 : 1,000~3,500mm
・拡底部有効径(引抜き方向) : 1,200~4,700mm
・上部傾斜角 : 4.3°~11.9°
・コンクリートの設計基準強度 : 18N/m㎡~ 45N/m㎡
・拡底部の最大施工深さ : 65.0m
・拡底部の引抜き方向の定着地盤 :
砂質地盤(砂質土、礫質土) 平均N値30以上(上限60)
粘性土・火山灰質粘性土 一軸圧縮強度 200kN/㎡以上(上限1,000kN/㎡)
泥岩・シルト岩 一軸圧縮強度 1,000kN/㎡以上(上限1,300kN/㎡) ※今回適用拡大
※拡底部は定着地盤に全て根入れされていることが条件
※地盤の種類は、「地盤材料の工学的分類法」(地盤工学会基準:JGS051-2009)に基づく
今後は、佐藤工業、あい設計、雄正工業、トーワドリル工業の4社による「S-HND SK-NEO工法会」を通じて実績を重ね、工法としての精度をさらに上げていきます。
※)共同各社等の概要
株式会社あい設計 東京支社
支社所在地 : 東京都江東区亀戸2-26-10 立花亀戸ビル4F
雄正工業株式会社(ゆうしょうこうぎょう)
本社所在地 : 東京都新宿区山吹町130
トーワドリル工業株式会社
本社所在地 : 東京都世田谷区成城6-5-2 5
S-HND SK-NEO工法会(エス ハンド エスケイ ネオ)
加盟会社 : 佐藤工業、あい設計、雄正工業、トーワドリル工業