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3D LiDARと高解像度カメラを併用したトンネル切羽監視システムの開発
2026年06月18日
佐藤工業は、シャープ(株)と、山岳トンネル工事における切羽での肌落ち災害防止を目的とした切羽監視システムを共同開発しました。
本システムは、3D LiDAR(以下、LiDAR)の点群データと高解像度カメラ(以下、カメラ)の画像を併用して、トンネル掘削の最先端である切羽をリアルタイムに監視し、異常な変位が生じた場合に作業者へ知らせるものです。
このたび、当社JVで施工中の中央新幹線第一中京圏トンネル新設(大針工区)(発注者:東海旅客鉄道(株))に本システムを試験導入し、有用性を確認しました。
【システムの概要】
本システムは、LiDAR、カメラ、制御装置(タブレットPC)、警報装置で構成し、切羽を監視するものです。
切羽での装薬作業の際、切羽から7~10m離れた位置に本システムを設置して計測し、切羽面の変位を算出します。算出結果は切羽監視責任者のタブレットPC画面に常時表示されます。
さらに、変位量があらかじめ設定した閾値を超えた場合、無線接続されている警報装置が視認性の高い赤色光で点灯し、作業者へ異変を知らせて退避を促し、岩石落下などの肌落ちによる災害を防止します。本システムは、計測エリア内に作業員や機械が写り込んだデータを除外する機能を備えており、監視精度を高めています。
【システムの特長】
切羽軸方向(前後)の変位検出にLiDARを、切羽面内方向(上下・左右)の変位検出にカメラを併用するシステムであり、3方向すべての変位の監視が可能です。
◆LiDARの点群データは、変位量の算出、また監視対象領域から作業員や機械などの障害物除外に利用。
◆LiDARの点群データの誤差やLiDARを連続使用したときに発生する経時変化への対策をあらかじめ講じることで、短期的な変位と長期的な変位をともに算出。
◆本システムで使用しているLiDARで取得された点群データは、各フレームに対して障害物判定を行う。障害物と判定された領域のデータは除外。
◆LiDARの点群データとカメラの画像はあらかじめキャリブレーションを行うことで対応関係を算出しており、カメラの画像についても障害物の領域を除外。
【開発の経緯】
2016年12月、厚生労働省から「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」が公表され、2018年1月、2024年3月と、2回の改正が行われています。
同ガイドラインでは、事業者(施工業者)が講ずべき措置として、①切羽の立ち入り禁止措置、②肌落ち防止計画の策定・実施・変更、③切羽監視責任者の選任、④具体的な肌落ち防止対策、が挙げられています。さらに、切羽監視責任者による監視を補助するために、切羽変位計測が肌落ち災害防止対策の一つとなっています。
山岳トンネル工事における肌落ちは、重大な災害につながるおそれがあるため、当社においても、その防止策として、これまで切羽の変位を検知する状態監視技術の研究を重ねてきました。
今回、当社では、奥行き方向の動きに強いLiDARと面内方向の動きに強いカメラに着目しました。そして当社技術センターSOU内に構築した模擬切羽を用いて、LiDARとカメラのキャリブレーション方法や、変位を検出するアルゴリズムの検討を行いました。その後、システムを実現場に試験導入し、装薬を行う作業員やドリルジャンボなどの動きを誤検知することなく、切羽を監視することができ、システムの有用性を確認しました。
【今後の展開】
山岳トンネルの切羽においては、トンネル内の照度、照明の角度、切羽面の湧水状況、切羽面の凹凸度合いなどが一様でなく、異なる状態のなかで切羽監視を行うことになります。そのため実トンネルにおける測定を通して、変位量の異常検出閾値の検討や、各種データの蓄積、検出精度の向上を図ることで、さらなる安全性を高めていきます。






