SERVICE & TECHNOLOGY

技術とサービス

マイクロバブル水液状化対策工法(NETIS登録番号:KT‐220174‐A)

概要

マイクロバブル水液状化対策工法は、直径が数マイクロメートルの微細気泡(マイクロバブル)を含んだ水を地盤内に注入することにより、地盤を不飽和化し、液状化による被害を抑制する工法です。

 

工法原理

地盤内に空気を注入すると液状化に対する強度(液状化強度)が増加します。これは地震時に発生する間隙水圧の上昇を、地盤内に存在する空気(気泡)がクッションとなり抑制するためです。砂の液状化強度は、飽和度が低下するほど大きくなり、飽和度が20%低下すると約2倍になります。

 

【マイクロバブル水による液状化対策の原理】
【マイクロバブル水による液状化対策の原理】

マイクロバブル水生成装置(注入プラント)
マイクロバブル水生成装置(注入プラント)

施工

マイクロバブル水はマイクロバブルジェネレーターにより生成します。この装置は、空気溶存量を高め、注入孔に設置したマイクロバブル発生ノズルによりマイクロバブルを発生させる仕組みとなっています。これにより、高濃度のマイクロバブルを地盤内に浸透注入させることができます。
マイクロバブル水は、従来の薬液注入で使用されるボーリングマシンや、狭い場所でも簡易に施工可能なミニラムサウンディングマシンなどで地盤内に注入します。

①注入孔削孔

①注入孔削孔

②シール材充填

②シール材充填

③注入管建て込み

③注入管建て込み

④マイクロバブル水生成

④マイクロバブル水生成

⑤マイクロバブル水注入

⑤マイクロバブル水注入

⑥飽和度確認

⑥飽和度確認

⑦注入完了

⑦注入完了

性能

これまでの実証実験により、実地盤の飽和度を約20%低下させることを確認しています。
国土交通省の総合技術開発プロジェクト『多世代利用超長期住宅及び宅地の形成・管理技術の開発』では、宅地地盤の防災技術として当工法が取り上げられ、大型遠心載荷試験装置での液状化実験により、N値が16程度の地盤で、兵庫県南部地震クラスの地震でも液状化を防げることが実証されています。また、同プロジェクトの実物大せん断土槽振動台での液状化実験では、N値7程度の非常に緩い砂地盤でも、震度5弱の耐震性能を確保し、震度5強以上でも液状化による沈下を半分程度に抑えることが確認されています。さらに、江戸川河川敷で実施した地下水流がある実地盤での耐久性実験では、過酷な条件下で、約半年間の飽和度を維持できることが検証されています。

用途

広範囲で経済的な液状化対策が必要とされる護岸や河川堤防、埋立地のほか、既設住宅地などの狭い場所でも施工が可能です。

建築研究所「実物大せん断土槽振動台実験」

建築研究所「実物大せん断土槽振動台実験」

浦安市「市街地液状化対策実現可能性検討調査」

浦安市「市街地液状化対策実現可能性検討調査」

特長

・材料が水と空気のため、クリーンで環境にも優しく経済的なほか、セメント系改良材に比べ材料生産時のCO2発生
 を大幅に減らすことができます。

・大型の施工機械を使用しないため、既設住宅の地盤などでも改良が可能です。

・強固な改良が必要とされる場合、薬液注入工法などとの併用も可能です。

開発実績

平成17年:東京都市大学、筑波大学、産業技術総合研究所と工法研究開発に着手
平成19年:国土交通省が北海道石狩港で行った人工液状化実験に参加
平成20年:国土交通省総合プロジェクトにて超長期宅地の地盤耐震技術として採択される
同  年:建築研究所の実物大せん断土槽振動台にて液状化実験を実施
平成21年:土木研究所の大型遠心載荷試験装置にて液状化実験を実施
平成22年:江戸川河川敷にて気泡耐久性確認実験を実施
平成23年:強化土エンジニヤリング、東京都市大学と薬液注入併用工法開発に着手
平成24年:千葉県浦安市で実施された「市街地液状化対策実現可能性検討調査」に参加
平成27年:千葉県での実地盤マイクロバブル水注入業務を受託
同  年:新潟県での実地盤マイクロバブル水注入業務を受託
平成28年:防災科学研究所の大型振動台にてナノバブルを用いた液状化実験を実施
令和 5 年:国土交通省新技術情報提供システム(NETIS)に登録
      *登録内容はこちらhttps://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=KT-220174%20

共同研究先

東京都市大学、筑波大学、産業技術総合研究所、強化土エンジニヤリング株式会社、JFEシビル株式会社